古き良き日本との、新鮮な出会いを。

徳島県西部に位置する、つるぎ町。
四国を東西に走る吉野川と西日本第二の高峰、
剣山を間近に望む、山間の小さな町です。
平地が少ない山の地形を生かし、
古くから人々は独自の暮らしと文化を育んできました。
中心部には、うだつの上がった古い日本家屋が
立ち並び、ゆったりとした“つるぎタイム”が、
訪れた人を迎えてくれます。

「折目邸 遊懐」は、そんなつるぎ町にある、築100年の商家をリノベーションした古民家宿です。宿泊の他、つるぎ名物の半田そうめんが味わえる食堂や、誰でも使えるお座敷スペースも併設しています。周囲から、ぽんとひとつ飛び出た大きな瓦屋根のお屋敷は、藍染の原料となる蒅や生糸の生産などで財をなした折目家の住居だったもの。

大正10年頃の折目邸

大正10年(1921年)に建てられた純和風の木造家屋で、かつては地域のヒト、モノ、コトが集まる町の中心的な場所でした。テレビが珍しかった時代には、近隣の住民が集まってみんなでプロレス中継を観たり、お座敷では結婚式が行われたり。広い庭は近所の子どもたちの格好の遊び場で、いつも笑い声と活気に溢れていました。

鬼瓦

例えば、大屋根の瓦。今にも動き出しそうな鬼瓦の唐獅子や水板の鯉は、建築当時のものを焼き直して新品同様の輝きに復元。梁や柱、室内の建具もほぼ100年前のまま残し、お母さんが家族のためにご飯を作っていた土間は、そのまま半田そうめんの食堂になりました。木の風合いや建物全体に漂う趣に、折目邸が紡いできた時間が色濃く刻まれています。

人々が集い、よく遊んだ、懐かしい場所—。

地域に愛されてきたこの場所を未来に残し、これからも多くの人に楽しんでもらえる場所にしたい。そんな想いから「遊懐」と名付けられたこの宿には、多くの“100年前のまんま”が残されています。

折目邸 - 遊懐 -

地域の人も、外から来た人も、大人も子供も、みんなが集い、一緒にご飯を食べて、思い出や夢を語り合う。そんな活気溢れる“これからの100年”を目指して、“100年前のまんま”の良さを残した折目邸。タイムスリップしたような宿で出会うのは、今だからこそ新鮮に感じる「リアルな人の温かさ」や「古き良きものの美しさ」なのかもしれません。

折目邸 - 遊懐 -

歴史を感じ、暮らしを見つめ、新しい出会いを楽しむ。
心くつろぐ空間で、ぜひあなただけの“つるぎタイム”を過ごしてみてください。

折目邸 - 遊懐 -

”折目邸 遊懐” 開業までの道のり

折目邸 - 遊懐 -

長い間、空き家となっていた折目邸のリノベーションプロジェクトが始まったのは2019年のこと。それまではつるぎ町の空き家バンクなどを活用していましたが、なかなか良いご縁に恵まれませんでした。

「先祖が大切に守り、地域に愛していただいた家を、どうにかして次の世代に残したい。」

その思いが年々強くなっていった折目邸の現オーナーは、自身の仕事が落ち着いて来たのを機に一念発起。「自分たちの手で、折目邸の新しい時間を紡ぎだしていこう」と決意し、地域での協力者を募ることに。

折目邸 - 遊懐 -

そこで白羽の矢が立ったのが、つるぎ町半田地区の老舗製麺所「北室白扇」の二代目。江戸時代から続く半田そうめんと地域に残る食文化を気軽に楽しめる場所をつくりたい。お年寄りも若者も、みんなが夢を語り、挑戦できる町にしたい。そんな強い思いで、長年、半田そうめんを使ったイベントや地域活性化に携わってきた経験を生かし、折目邸の改修と運営の指揮を取ることになりました。

折目邸 - 遊懐 -

折目邸は築100年。100年分の歴史と思い出の深さに触れながら、試行錯誤でプロジェクトは進行。地域内外から多くの方の協力を得て、地域の人も旅人も、みんなが集える憩いの宿と食堂をカタチにしていきました。

これからの100年を、地域と共に、より開かれた場所へ。
折目邸の歴史はこれからも続いていきます。

外観

鬼瓦
鬼瓦

折目邸の大きな瓦屋根。その側面に飾られた鬼瓦は、100年前の瓦を焼き直したもの。家紋のほか、鶴や亀、唐獅子などの多くの縁起物があしらわれています。玄関とお座敷には鬼瓦のレプリカが飾られているので、当時の職人さんの技術を細部まで感じていただけます。
鯉


屋根の棟飾りである水板は、天災や魔除けの意味があり、鬼瓦と同じく家の守り神のような存在。空や水に関係するデザインが多く、折目邸の水板は波間を泳ぐ大きな鯉。暴れ川として有名だった吉野川に近い、折目邸らしい水板です。
庭園
庭園

剣山に続く山々に連なるように整えられた庭の木々。春には霧島ツツジが咲き誇る美しい折目邸自慢のお庭は、昔は近所の子供たちの格好の遊び場でした。当時の美しさをいまに残しつつ、静かでゆったりとした“つるぎタイム”を存分に感じていただけるお庭です。
表札
表札

宿の正面玄関にかかる折目邸-遊懐-の表札は、書家の柳田泰山先生によるもの。「人々が集い、よく遊んだ、懐かしい場所」という宿名の通り、これからも多くの人々の憩いの場となるようにとの願いが込められています。

内観

お座敷

大きな掘りごたつのテーブルが置かれた一階のお座敷スペースは、誰でも自由にご利用いただけます。ゆっくりと庭を眺めるもよし、無料のwifiを使ってリモートワークをするもよし、思いおもいの過ごし方でご活用いただけます。
柱


折目邸内のほぼ全ての柱も、建築当時のまま活用したもの。特に一階神棚の下の欅(けやき)の大黒柱は必見。継ぎ目やふしの全くない一本木の柱は、築100年とは思えない佇まいで今日もしっかりと折目邸を支えてくれています。
梁


太く大きな梁も、もちろん100年前のまんま。二階の天井を見上げると、天然の木ならではの湾曲をうまく生かした屋根組を眺めることができます。当時の大工さんたちの匠の技を、いまに伝える貴重な梁です。
神棚

折目邸の大きな神棚は、この屋敷が建てられた大正期以前につくられた年代物。正確な製造年は不明ですが、その色合い、納められた氏神様のお札(ふだ)の枚数からも、紡いできた時の長さを感じます。これからも折目邸の守り神として、多くのゲストをお迎えします。